消失長門の本気

日曜24時はHaruhi's Time.
消失を読んで、だれもが考えるであろうネタを、あえて書いてみた。
無論、消失のネタばれを多少含むので未読の人は注意。というか読んでないと意味がわかりません。
涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)

消失長門の本気

「すまない、長門。これは返すよ」
「そう……」
声まで震わせて、長門は睫毛で目の表情を隠す。
次の瞬間、長門の手が急にこちらに伸びてきた。


ブチッ。
漫画などで、登場人物が我慢の限界に達したとき、いわゆるキレたときに使われる擬音である。実際にはそんな音など鳴るはずもなく、もし鳴ったとしたら、その人は怒りを周りにぶちまけている場合ではない。早急に救急車のお世話になるべきである。
だが、今回は確かにこの耳でそのように聞こえる空気の振動を感じ取った。なんだなんだ、超えてはいけない一線を越えてしまったのか?
落ち着いて、長門を見る。その手はパソコンの電源ボタンに伸びていた。


なーんだ、さっきの音はパソコンの電源が切れる音だったのか。しかしこんな音が鳴るとは、やっぱり古いマシンはだめだな。早急に買い替えないと。そのためには、まず生徒会に掛け合って部費を増やしてもらわないと…
ああ、わかってるさ。今はそんなことをのんきに考えている場合ではない。だけど、もう少し現実逃避をさせてくれー。
カサッ。
目の前に焦点を合わせると、長門が何やらしわくちゃの紙を伸ばしていた。それはさっきおれが返した入部届けじゃないか。
「よかったら」
片手を差し出してきた。
「持っていって」
あの時と同じ表情の長門の顔が、そこにあった。まるで時間がループしているかのごとく。
いや、実際にループしてくれたら、抜け出せる可能性がある分ありがたいんですけどね。

あとがき

本気怖い。